だから︑その社会を知らないと生活出来ない︒私は地方都市の弁護士だから︑輸出入や国際的契約とは無縁の仕事をしているが︑アメリカの圧力を感じている︒のアメリカ化で︑弁護士大増員と裁判員制度が実行されている︒社会を作ろうとしているが︑一つは議会制民主主義︑もう一つは正当な自由競争である︒ギリシア以来の伝統のあるヨーロッパ社会にはなじみ易いが︑東洋的専制君主が永い間支配して来た地域では中々簡単に行かず︑表面的にはアメリカ式でも︑現実にはファミリーが議会と財界を牛耳っている国がある︒アメリカ的外見とアジア的君臨体制との矛盾から︑の異名を取っている︒無用な内戦や革命が何度も起っている︒塩野七生女史の﹁ローマ人の物現在のアメリカ合衆国は世界国家今進行中の司法改革は日本司法界アメリカ人は世界中で彼等向きの語﹂全15巻は1年1冊のペースで出版され︑平成18年末に完結したが︑ローマ建国から西ローマ滅亡迄約1200年の歴史を語っている︒700万部売れたと言うから︑各巻50万部の割合だが︑平均的日本人の西洋史の知識では到底全巻読了とは行くまいと思っている︒多分クレオパトラの死と共に︑読者の熱も冷めてしまうだろう︒室町時代の大学者三条西実隆の日記を見ると︑彼は大名や高級武士に頼まれて︑源氏物語を筆写して送っているが︑﹁あの侍は未だ諦めないで︑続きを送ってくれと言って来ている﹂と呆れている処がある︒古来源氏物語に挑戦する読者は多いが︑ほとんどの者が須磨︑明石の辺でギブアップしてしまうので︑須磨源氏塩野さんの著作も︑﹁クレオパトラローマ﹂と言われるかも知れない︒食の問題である︒アメリカを旅行し﹁ローマ人の物語﹂は日本人ビジネスマンの間で大流行し︑銀行支店長等も競って読んでいたが︑その理由は︑世界国家アメリカ人の思考を知るには︑ローマ人に学ぶべきである︑と言う︒アメリカ人とローマ人は確かに行動形態や生活様式が良く似ている︒どちらも多民族の混合国家で︑余り差別をしない︒アメリカ人は自分達の考え方通りの生活が出来る環境を作ったし︑ローマ人も自分流の生活を構築した︒何処に行っても水道を敷き︑大浴場を造った︒アメリカの大統領は絶大な権限を持っているが︑東洋的専制君主と違ってオールマイティではない︒議会との折合いも必要であり︑4年毎に選挙がある︒チェックアンドバランスの感覚が権力機構について廻るから︑大統領も常に気を配る必要がある︒ローマも皇帝制にはしたけれど︑もロマンやいかがわしい点があるも元老院の動向を無視すると淘汰される︒だからローマ人を研究すればアメリカが判る︑と言うのも一つの見解ではある︒ところが決定的相違点はた人は直ぐ気付くだろうが︑アメリカ人は﹁生きる為に食べる﹂のであって︑﹁食べる為に生きる﹂のではない︒ボリュームと栄養があれば︑味は塩と胡椒だけで足りる︒ラスベガスのレストランで出された食事にはうんざりしたものである︒一方ローマ人は世界中の珍味を集めて賞味するのを好み︑しかも腹が一杯になると︑吐いて又食べると言う喰道楽である︒食は人生の基本的要素だから︑この問題がこの様に違うことは人生への取組み方にも変った点が出るだろう︒私の意見では︑アメリカ人を知るには︑今のアメリカ人を作った歴史を研究するのが捷径である︒しかしながら︑アメリカ史はとっつき難い上に︑物語性がないのである︒アメリカ建国は1783年だから︑225年前で︑日本では田沼意次失脚3年前である︒何処の国の建国伝説にのだが︑アメリカ史には味も素気もない︒イギリスの税金に反発して独立戦争を起し︑軍資金の借入返済の為にくっついただけの国である︒それでは面白くも何ともないか︑と言われるとそうでもない︒私は初めアメリカ史を敬遠して来たが︑ロアメリカ史の魅力浦和ロータリー・クラブ矢作好英ロータリーエッセイ−91−GOVERNOR’SMONTHLYLETTER!
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