ロータリーの基礎知識 第3版
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−70−高い形で実施されていないため、慢性的に所在が分からずワクチンを接種できない子供が生じています(chronicallymissedchildren)。WPV1(WildPolioVirus1野生株1型)はアフガニスタンとパキスタンの2ヵ国で存続しています。この両国は、社会的、文化的そして経済的にも深いつながりがあることと両国民が国境を越えた移動を行っているので、疫学的には単一の地域と捉えることが出来ます。アフガニスタンの南部地域では、戸別訪問による予防接種が禁じられているので、2018年5月以降、一度も予防接種を受けていない「ゼロ接種」の子どもを含む100万人以上の子どもが予定された予防接種を受けられずにいます。2019年のWPV1症例の90%と2020年のWPV1症例の75%がこれらの地域で発生しました。パキスタンでは、ワクチンを忌避する地域や人々が存在することに加え、優先地域において新たに浮上した課題が過去では効果のあったワクチ戦略の道標ン接種方法が上手く機能せず、撲滅への進捗が遅れています。特に、パキスタンの人口の15%を占めるパシュトー語圏での非効率な取組みにより、この地域での発症例が、過去10年間で、パキスタンにおける発症例の81%を占めています。アフガニスタンとパキスタンで野生株1型(WPV1)を阻止するには、GPEI、各国政府、そしてすべてのポリオ撲滅運動のパートナーによる緊急態勢を整えることが必要です。この2ヵ国でWPV1の撲滅に失敗した場合、野生株由来のポリオの感染が世界的に再拡大し、10年以内に年間20万人のポリオ患者が発生する可能性があることが示唆示されています。ポリオを撲滅するために、私たちが何世代にもわたって行ってきたこれまでの投資(=現在の財産)を守るために、ゴール1は野生株1型(WPV1)の伝播を永久に阻止する道筋を示しているのです。ゴール1までのスケジュールは下記の通りです。ゴール1ゴール2PCS:Post Certification Strategy認証取得後の戦略出典:WHO(世界保健機構)新規経口生ポリオワクチン2型の最初の使用2回目の不活化ポリオワクチン投与と新規経口ポリオワクチン2型の評価野生株1型の伝播を阻止する2022-2026年戦略の厳正な見直し2022-2026年戦略の厳正な見直し伝播型ワクチン由来ポリオウィルス2型の最後の分離を報告する野生株1型の撲滅の認証伝播型ポリオ二価経口ポリオワクチンの段階的廃止とPCSワクチン由来ウィルス2型が存在しないことを検証ポリオ撲滅戦略2022−2026年

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